11巻

11巻

B6版 p192

仕事や家庭について、お互いどう考えているのか、真剣に話し合いをする、同棲中の吉家と平良。それぞれ自分の知らなかった気持ちにも気づき、吉家のコンクールまでは別々に暮らすことに。そんな時、婚礼衣装の打合せに、担当の紺ノと依頼主の家に行くことになった吉家。だが、そこでトラブルが発生!? 一方、吉家と家庭を作るという夢が消え、人生の目標を失った真霜は…!?

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集英社マーガレットコミックス 2024年7月発売 桃森ミヨシ


11巻の感想


11巻の真霜くんの神回に続いて、今回は平良さんの神回が収録された1冊。


平良さんの心象で語られる風景では、きっかが平良さんにとってどんな女の子なのかよくわかります。

いつもほんわかしてたから問い詰めるような切羽詰まった顔をするのが意外で、そういう一面は怖くて、

でもすぐに冷静になって話しあいを求めてくる、だから誤魔化せない。

ちゃんと向き合わなきゃいけない女の子。

でも重い空気が大嫌いな平良さんが話しやすいような、軽い空気も作ってくれる。

楽天的な面もあってそこに救われる。

おっぱいの形も好き。



こう見ると平良さんにとっては完璧な好みの女の子なんだけど、たった一つ思い通りにならないことがわかったんだよね。

平良さんと同じように、きっかにとっても「仕事」を優先する時期があるということ。

それがとてつもなく寂しく感じるのは、やはり彼の幼少期の家庭環境に起因するものがあった。



前回からものすごく重くて暗い雰囲気になってしまった二人。

ひららさんはこういう空気が大嫌い。今までの人生、こういう場面からは逃げ続けてきた男です。女優の時も鬼彼女のいる家に帰りませんでした。

けど、きっかはそれを許さない。話し合いから逃さない。

ただし、エンタメにしちゃって、楽しい雰囲気で喋りやすくするっていうのは彼女らしさだし、魅力でもある。これが私たちのやり方!って勢いで服を脱がしてスッポンポンでプールにダイブ!そして裸の心と体で本音を語り、相手のことがわかったと思えたら少しずつ近づいていくっていうゲームにしちゃったんです。

ここのシーン、ものすごく好きです。


二人の話し合いはよくここまで解像度を上げたなっていうくらい言語化されてて、読んでいて唸る部分もありました。

すごく読み応えがあったし、簡単に別れずどうにか話し合いでわかり合おうとするところは、恋人としてやっていける条件でもある。

私自身、ダメだと思ったらすぐに諦める方なので、二人のやりとりや分かりあうための作業は、勉強になる部分もありました。


でもこれで、平良さんは自分の傲慢さに気づき、泣いてしまう。

平良さんの本音は「いつも僕のことを考えて待っててくれるパートナーになってよ、専業主婦でも全然いいよ!」(曲解)だったんですよね。



だけどそういう風に相手に対して求めたのは、きっかに対してが人生初。

自分の世界(仕事)を持ち、輝くきっかを選んでおいて、それは無茶振りすぎる。



「僕の手の届くところで輝いていて」



という彼の本音は、とてもドス黒い毒として自らに突き刺さってしまったんです。



自分で稼いでない大金は
情熱を吸ってく気がするんだよ



というきっかの言葉は、男性的な感覚だなとも思います。そして経営者的な感覚でもある。

自分が結果を出していきたいというのは、イニシアチブを自分が取りたいタイプでもあるということ。


きっかが男で真霜くんが女ならすごく上手くいったと思うんですよね。

でも二人とも、自分は女(男)だからこうあるべき、みたいな枠に囚われている気もする。

そして平良さんときっかは同じタイプ。

すでにぶつかり合い始めてる。


平良さんもなんとなく気づいてそうです。

きっかの相手は自分じゃないかもしれないって。



平良さんが今回気づいた「理想の妻像」は、子供時代に接していた母親から起因していることがラストでわかります。

姉ばかり構っていた母だけど、家に帰ればいつもいてくれた。

それが平良さんにとってものすごく嬉しいことだったんですね。




そして11巻の後半は、真霜くんが持ってきた「婚礼衣装」の仕事。

そこで200m史上最大の恋愛強者女子を相手に打ち合わせをするんだけど、ここがそれぞれの結婚観も交えられててすごくよかった。

相手がモヤモヤしている気持ちを言葉にして、解像度を高めるきっかもよかった。

やっぱり、仕事をしているきっかはイキイキして輝いています。前は嫌な感じだった紺ノさんも、今回はきっかに助けられ素直にお礼を言ってました。いざとなるとやっぱり、きっかは年上だし業界も長いから解決策も出せる実力がありますね。


結婚ってなんだろう。

人によって価値観は様々で、200mのキャたちもそれぞれ求めることがある。

中で最も結婚を遠く感じているのが、主人公きっかであろうと思います。

彼女は今、仕事が楽しくて仕方ない。でもそれって、時間が経過することによって変わるものじゃないかな。

それを平良さんは先に感じているかもしれない。



結婚は似てる人とはしないほうがいい。

それを予感させる11巻。

平良さんときっかは、二人とも「働きたい人」なんだよね。

きっかのマインド(稼ぎたい、奢りたい、可愛いドジっ子が好き)は、男性だったらめっちゃモテのマインドだったな〜〜とつくづく思います。笑

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