16巻
16巻
B6版 p208
今、いちばん大切にしたい人は真霜。それが恋愛感情ではなくとも自分の中の優先順位に気づいた吉家は平良との別れを決意する。いざ本人を前にすると立ちすくんでしまうが、未来を見据えて自らの本音をぶつけてきた平良に対し、吉家はついに…。一方、水害の避難所へ手伝いにきた吉家の小さな異変に気づいた真霜。期待して踏み込んではいけないと自分に言い聞かせるが…?
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集英社マーガレットコミックス 2026年5月発売 桃森ミヨシ
16巻の感想
プロポーズをするひららさん。
必死な表情、もうどこか半分くらいは「断られる」ということを予想しているみたいな。
お願いだから受け入れて、という感じに見えます。
案の定、断る紬。
「どうして?」ときくひららさんにこたえます。
テープ聞いたよ
ひららさんの想いがちゃんと伝わった
最後の合唱曲
あの歌詞はぜんぶ ひららさんの理想の愛だよね
私も同じ
あんな愛を伝えられたら全力で返したい
でも私たちはそこにたどりつけてないから
「二人で愛を続ける努力をしよう」
そう言われてる気がした
私はその努力ができないの
平良さんと紬は、真霜くんがしてくれたことをお互いにできていないし与えられていない。
二人とも「自分がしたいこと」が先に来るタイプで、縁の下で誰かを支えるよりは、自分が成長して相手を引っ張るタイプ。
いわゆるアーティストであり経営者タイプなんですよね。二人は似ている。
そして紬は今回の話で、平良さんがご飯を作ってくれたことにいたく感動していました。
ドロドロのお粥みたいな失敗ごはんに「めちゃくちゃがんばってくれたじゃん・・・」と泣きそうなほどに。
紬はご飯を作るのが好きではないし得意じゃない。
つまり、食事を作ってくれるということに、すんごく愛を感じるタイプなんですよね。これも平良さんと一緒。
平良さんも手料理にすっごい喜んでたからね。(誕生日の紬のオムライス)
二人とも胃袋をつかまされるタイプですね。
歌詞の中の
心を痛め 疲れ果てた空腹のあなたの前に
あたたかな膳をおくこと
ってところでもモロに真霜くんを思い出していましたから。
生姜焼きも無理で、蕎麦も無理、工夫してかわいいおにぎりとタコさんウインナーにしてくれた、この真霜くんの愛に紬はほだされていたんです。
歌詞の中にはこのような節もあります。
愛とは 絶えぬ熱
その熱を抱きしめ 宿し続ける意思のこと
つまり、宿し続ける意思がなければ、熱は(愛は)消えてしまう、と平良さんは歌に作ってる。
「わかってるよ、永遠なんてないもん」という紬も同じ考えです。
だからこそ、お互いに愛を消さない努力をしなければならない。
あなたが
わたしが
その熱は消さない
あなたと私が、お互いに熱が絶えないよう、日常のささやかな中で努力していく、それが愛だということなんです。
優しくしあう。話し合う。感謝しあう。
真霜くんと分かち合えたように、同じ鍋からご飯を食べ、
ささやかな甘いチョコレートでほっこりし、幸せを感じることを積み重ねて、時間をかけて愛になっていく。
紬は今、まだ真霜くんへの気持ちが恋愛なのかどうかわかっていない。
けど、理想とする高次元の優しさを与えられたとわかった今、他の何よりも真霜くんの力になることを最優先にしたいんですね。
それが恋愛の気持ちかどうかは関係なく。
しかし、平良さんは「他に心を移された」「裏切られた」という気持ちが先行し、激昂してしまいます。
「別れないから。」
強い言葉で決意を伝える平良さん。
正直、平良さんはまたこの痛みを音楽にすればいい、とちょっぴり思っていた私。ぐっさりきましたね〜〜〜
そうだよね、なんにも残らないよね。
ごめん、平良さん・・・・
怒涛の展開、本音のぶつかり合い、舞台から降りないことを宣言する平良さん。
すごい熱の高かった39話につづいた今回40話は、閑話休題といった感じで全体的に落ち着いています。
彼は有給をがっつり使って仕事を意気揚々と休んじゃってるんです。
平良さんがこんな時でも仕事を手放せず、一人で青山に行ったのに対し
真霜くんはさくっと長い休みを取り、ずーっと街のための復興活動をしている。毎日きっかと会えることを楽しみに。
真霜くんにとって、いかに仕事の位置が低いか、こういうとこでもよくわかる。彼は仕事より家庭、仕事より愛なんですね。
このあたり、真霜くんは女性寄りの感性かもしれません。
避難所にもいろんな国の人、独身、家族、子供などたくさん集まっているそれぞれの姿をみて
「世界が広がるほど「家族」という小さな絆が必要に思える」という真霜。
本当はきっかと家族になりたいし、家庭をもつことが夢なんですね。
真霜に拒絶される紬
そして41話です。
平良さんと別れ、真霜を優先したという邪な心を知られたくない紬。
誤魔化すように、今は恋愛に生きる時じゃない言い訳を並べ立てる。
感心するのは決して平良さんのことを悪く言わないこと。
受け取る器がなかったのは私の方で、とここまではいいのですが
これから目指すべきは税金をいっぱい納める人だという「役割」を新しく作ろうとしてしまう。
自分は仕事に生き、納税することで社会貢献する。そういう役割をしていくんだと。
役割をもつことで、生きていこうとするんです。
平良さんに求められる役割を放棄したから、かわりに他の役割をみつけようとする。
今の共働き社会において、紬のような考え方は受け入れられやすいと思う。とくに婚活市場では。
お互いに役割を決め、それを淡々とこなしていくことで家庭を維持していく。
だけど真霜くんにとってはそれが非常に冷たい言葉にきこえてしまうのです。
彼はおそらく結婚しても、「俺がご飯を作ればいいし俺の手が空いてたら相手の分もすればいい、疲れていたら全部やってあげる。そのかわり「ありがとう」っていっぱい言ってくれ。嬉しい気持ちを表現してくれ」という人。
それが彼の報酬なのです。
事実、真霜くんは紬の笑顔でどんだけでもやる気を出します。
そして、紬が毎日来てくれることを
「恩返し」って役目にしなきゃ 帳尻合わないのかよ
だったらもう こなくていい
と拒否し、
真霜くん自ら距離をとってしまうんです。
そして何かをかんじる紬
今 なにが 終わったの・・・?
まさに、いま
あやふやな関係が終わろうとしている。
波乱の16巻なのでした。
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